客観的データに基づく音響解析
当研究所(KATO Wave Lab)では、中古オーディオ機器の再生・販売において「感覚」だけに頼らない品質保証を目指しています。 修理・メンテナンス後のBose Wave SoundTouch Music System IVなどの機器が、本来の性能を発揮しているかを確認するため、以下の厳格なプロセスで周波数特性の解析を行っています。
【測定概要】
- 使用信号: 正弦波スイープ信号 (Log Sweep / 対数スイープ)
- 信号レベル: -5dBFS (Peak)
- サンプリングレート/ビット深度: 44.1kHz / 16bit
- 検証環境: WaveSpectra (Peak Hold) にて全帯域のフラットネス(平坦性)を確認済み
- 補足: Cubase等の周波数分析におけるスロープ表示特性により、一部のアナライザー上では高域減衰して見える場合がありますが、信号自体の出力レベルは20Hz-20kHzにおいて一定です。
当研究所の測定手法と検証環境について
1.基準信号(リファレンス)の精度について
正確な測定のためには、まず「入力する信号」が正確でなければなりません。 当研究所では、測定用音源としてデジタル生成されたスイープ信号(Log-sweep.wav)を使用しています。
この信号源自体に偏りがないことを証明するため、業界標準の解析ソフト「WaveSpectra」にてピークホールド測定を行い、20Hzから20kHzの全帯域において出力レベルがフラット(平坦)であることを検証済みです。
- 使用信号: 正弦波スイープ信号 (Log Sweep / 対数スイープ)
- 信号生成: WaveGenアプリを使用
- 検証結果: 基準信号の周波数特性を図1にて示します。赤線が全帯域で均一な出力(-5dB)を保持していることが分かります。これによって全帯域で減衰のない直線性を確認しました。

図1:WaveSpectraによる基準信号の解析結果
2.測定・解析環境の構成
実機の測定においては、以下の機材・ソフトウェアを用いて、可能な限りノイズや環境要因を排除したデータ収集を行っています。
【ハードウェア構成】
- 再生機器: Bose Wave SoundTouch Music System IV / Wave Music System IV(メンテナンス済み実機)
- 録音機材: TASCAM DR-07XP(リニアPCMレコーダー / 32bit float・96kHz対応ハイレゾモデル)
- 測定環境: 定位置での近接収音により、部屋の反響音(ルームアコースティック)の影響を最小限に抑制
【解析ソフトウェア】
- WaveSpectra: 周波数ごとの最大出力(ピーク)を正確に捉え、機器の周波数レスポンス(F特)を厳密に判定するために使用します。(図1をご参照ください。)
- Steinberg Cubase Artist: 時間軸に沿った音の変化や、スペクトラムの動的な挙動を確認するために使用します。

図2 CUBASEによるメイン画面と「SuperVision」
※図2の画面から音声出力が-5dBFSをキープしていること。L/RのPANが中間に定位していることを確認しています。

※図3中の赤い線が『右下がり』になる理由は、『Log Sweep(ログスイープ)』のエネルギー密度を正確に表示しているためです。 Log Sweepは、低音域に時間をかけ、高音域を一瞬で通り過ぎる信号です。そのため、時間あたりのエネルギー量(密度)で見ると、『高音ほど密度が低い(エネルギーが小さい)』という表示になり、これはピンクノイズと同様の減衰特性(-3dB/oct)を持ちます。 したがって、出力レベル自体は一定(-5dB)であっても、エネルギー密度を表示する解析モードでは右下がりの信号として観測されます。

図4 CUBASEによる解析データ一覧
※スタートから終了まで、信号の音量が0.01dBのズレもなく、完全に一定であることを示しています。これは「デジタル的に生成された高精度な信号であること」の証明となるエビデンスです。また、基準信号用音声データのフォーマットの証明となります。
3.【技術注記】解析ソフトによる表示特性の違いについて
公開データをご覧になる方へ、解析ソフトの仕様に関する補足です。 当サイトで公開するスペクトラム画像において、使用するソフトや設定によってグラフの傾きが異なって見える場合があります。これはデータの不備ではなく、各ソフトの「表示スロープ(Slope)」設定や、「対数スイープ(Log Sweep)」の物理的特性よるものです。
- WaveSpectra (Peak Hold): 物理的な最大出力レベル(電圧)をそのまま保持して表示するため、基準信号は「水平(フラット)」に描画されます。当研究所ではこれを品質基準としています。
- Cubase 等の音楽制作ソフト: 以下の理由により、グラフが傾いて見えることがありますが、正常な表示です。
当研究所では、これらの特性を理解した上で、適切な設定(Slope 0.0 / Max Mode)を行い、正確なデータ検証を行っています。
4.KATO Wave Lab 研究所のポリシー
私たちは「良い音」という主観的な評価に加え、科学的な「測定データ」を公開することで、お客様に納得して選んでいただける製品作りを心がけています。 ヴィンテージ機器のポテンシャルを最大限に引き出した「KATO Wave Lab」のメンテナンス品を、ぜひ安心してお楽しみください。
5.測定用基準信号WAVEデータ<公開>
■データの概要とスペック
【ファイル概要】 当研究所(KATO Wave Lab)が機器の測定に使用している、デジタル生成された高純度な基準信号です。 20Hzから20kHzまでの全可聴帯域を網羅する「対数スイープ(Log Sweep)」信号で、オーディオ機器の周波数特性チェックや、ルームアコースティック(部屋の響き)の測定に最適です。
【収録スペック】
- フォーマット: WAV (Linear PCM)
- サンプリングレート: 44.1kHz
- ビット深度: 16bit
- 信号種類: Log Sweep (20Hz – 20kHz)
- 信号レベル: -5dB (Peak) ※全帯域で一定
■安全上のご注意(※超重要)
【⚠️ 再生時のご注意】
- 音量について: 必ず「小音量」から再生を開始してください。
- スイープ信号は連続的に高い音が出力されるため、通常音楽の聴取時と同じボリュームで再生すると、スピーカー(特にツイーター)に過度な負荷がかかり破損する恐れがあります。
- 当データ使用による機器の故障・損害について、当研究所は一切の責任を負いかねます。ご自身の責任においてご使用ください。
■著作権・利用規約
【ライセンス】
- このWAVデータは著作権フリーです。
- 個人の趣味、商用利用、学校での実験など、用途を問わずどなたでもご自由にお使いいただけます。
- 使用時の許諾連絡やクレジット表記も不要です。良い音作りのためにお役立てください。
